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今月のエルフィン寄稿ギャラリープロフィールフェアリーカード月下の一隅リンク

 新幹線の長い長いホーム、巨大なアリーナ、ビルが立ち並び行きかう人々はとても早足で、道路にはいつも車が溢れている街。私の家からは、程近い場所なのだけれど通り過ぎるだけの街。本当に、ここにアトリエがあるのだろうか? 時間だけが、先へ先へと進む街の中に、エンジェルやエルフィンの生まれる場所を見つけることが出来るのだろうか? 地元人(のはずなのだが)大通りでただの挙動不審者になっていた。(方向オンチとも言う)
 やっと、白いビルの白い扉の前にたどり着いた時、溢れる香がさっきまでの? を吹き飛ばしてくれた。そして扉が開くと、いままで見たことも無いほどの数のエルフィンと先生が、私を迎えてくれました。
 魔法にかかったのか? 夢を見ていたのか? 急に頭の中がホワホワとして、自分が何をお話したのか最初の方が思い出せない。(何か失礼な事を、言っていなければ良いのだが)アトリエの中の印象は、機械的な物が無いと言う事でした。素材、道具、といった物に囲まれて先生やスタッフの方が、お仕事をされているのですが、機械的というか金属的なものが無い。その時はただ漠然とそう思いましたが、それは後に完全に手作りで生まれて来るエルフィン達には、必要が無いからだと言う事が分りました。
 ちょうどスタッフの方が、お人形の髪やドレスに飾る小さな花を作っているところを見ることが出来ました。白い布を切り、それを何度も染めて、先生独特の微妙な色合いを出すのだそうですが、これがとても難しくなかなか思うようにはならないのだそうです。そして、同じ色も2度と作れない。染め上がった透き通るような薄い布を、1枚1枚切って花びらを作り、その花びらにコテで表情を付け、小さなその1枚ずつの色合いを見ながら組み立てていく。布が、花に変わっていく瞬間でした。
「今は、このお花を作っていますよ」と、先生が1枚の白い紙を見せてくれました。そこには、鉛筆で書かれた美しい花が描かれていました。しかし、ただのデッサンではなく、花びら・花弁・葉の数はもちろん、花と花との間隔まで細かく指示の入ったものでした。それを忠実に形にした可憐な花が、テーブルの上に並んでいたのですが、花1輪はとても小さく小指の爪ほどしかない。それを見た時に、なんだか泣きたくなるような気持ちになってしまいました。
 先生の作品がどれも美しく完璧なのは、気の遠くなるほどたくさんの手が1つ1つ重なって、形になり生まれてくるからに違いない。と今更ながらに思い、その瞬間を実際に見ることが出来て、本当に幸せだと感じました。これは、自分だけではもったいない、先生のエルフィンが大好きな方々にもぜひ見いただきたいと思いました。残念ですが、私のつたない文章ではとても伝えられません。もう直ぐアトリエから「若月まり子の人形作品が出来るまで」と「エルフィン・フローリーが出来るまで」がホームページで発表されるようですが、こちらをご覧いただくといかにして、あのかわいらしいエルフィンが生まれて来るのかを詳しく知る事が出来ると思います。私も、とても楽しみにしています。(あの感動を再び)
今回、アトリエにお邪魔して大変貴重な時間をいただきました。いただきついでと言っては何ですが、先生にプライベートな質問をしてしまいました。

─先生のご自宅には、どんな天使や妖精のお人形が飾ってあるのですか?

「自宅にお人形は、1体もありません。あるのは、デッサン用の人体です。でも、皆さん同じ事を考えていらっしゃるのですね」  ウフフッと笑いながらお答えになったので、きっと同じ質問を何度もされているに違いない。

─では、創作した中でこの子は手放したくない、などと思ったことはありませんか?

「あまり無いですね。作品を作り、自分以外の人に見ていただくのが嬉しいのです。そしてまた、次へ進みます。まだまだ勉強中なんですよ」

─そうですよね。いちいち執着していたら、前には進めませんよね。物欲の塊のような私は、とても物を作る人にはなれないと思いました。
 展示会を百貨店で開かれていますが、ふだんご自分のお人形をチェックしたり、見に行ったりする事はあるのですか? 私は、ふだんのお人形の陳列について担当の方ともめた? 事があるのですが、(羽根は折れ曲がり、指の先の欠けたお人形が飾ってあったので)

「そうですか。それは、お人形の為にありがとうございました。私たちは、作って送り出してしまった後の事は分かりません。展示品などで、汚れたり、傷ついたエルフィンが(修理)という事でアトリエに戻ってくる事がありますが、本当に悲しいですね」

 私がおうかがいした時も、先生の机の上に2体のエルフィンが途方にくれて座っていました。はっきり言って、修理はとても難しいそうです。
 先生のファンになってから10年近くになりますが、こんなにも長く幸せな時間を過ごせた事を本当に幸せに思います。小さな頃からお人形などには、全く興味の無かった私がここまで気持ちの入るわけは何なのか? 今回、アトリエを訪問させていただき改めて解かったような気がしました。気取りが無く、上品でお優しい
 先生やスタッフの方々とお会いできて本当に良かったです。(皆様の美しい指先がとても印象的でした)もっと美しく、更に新しい物を、と願ってしまう私たち多くのファンや、お人形の事を思うと、ついつい無理をしてお体を壊してしまうという事があるようです。ホームページをのぞくと、これからも続々と新しい物が見られるという嬉しさでいっぱいになりますが、どうぞご無理の無いようにしていただきたいと思いました。
 夢見るような楽しい時間は、本当に過ぎていくのが早く(ここに住みたい!)と思ってしまうほどでした。感動や幸せで、すっかりふやけてしまった私は、先生やスタッフの方に見送られて扉を後にしました。が、ビルを1歩出た途端渋滞の車のクラクションが私を現実の世界に引き戻しました。急に頭の中がぐるぐると回り、(あまり中身が無いので回りやすい) まるで浦島太郎にでもなったかのような気持ちになりました。思わず後ろを振り返ると、そこにちゃんとビルはある。こんな大きな街の中に魔法の扉があるなんて、きっと誰も気が付かないだろうと、この秘密を大切に持って帰りました。

筆者紹介
孔野(よしの)
ファン歴10年、それまでは全くお人形に興味なし。ミルティスに出会い人生が変わる。5体目のミルティスとマリエを手に入れたとき、お人形とは買うものではなく、自分との出会いを待っていてくれる物なのだという運命を知る。以来徐々に、エルフィンも増え続け大所帯になりつつある。夢は、1点物を手に入れること。(夢に向い小銭貯金に励む毎日)一体いつになるのやら。

編集注記
上記の「魔法の扉」は、一愛好家から見た若月まり子の世界について孔野さんに依頼して寄稿されたものです。上記文章中にに記されています「若月まり子の人形作品が出来るまで」と「エルフィン・フローリーが出来るまで」は現在準備中です。近く(8月頃までには)本サイトに掲載いたします。しばらくお待ち下さい。

上記文章の無断転載はお断りいたします。(C) Yoshino. 2003

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